増配ニュース

2021年10月29日、商船三井の株価が業績予想の上方修正と期末配当予想の倍増を受けて、一時前日比11%高の7250円を記録しました。
商船三井は同社が出資するコンテナ会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の好調な業績などを背景に、今期(2022年3月期)の純利益予想を4800億円と従来計画から43%上方修正すると発表。
1株当たり250円としていた期末配当予想を250円増配し500円に倍増。
年間配当は550円→800円(配当利回り10%越え!)となりました。
事業

商船三井 (9104) は日本郵船 (9101)・川崎汽船 (9107)と並ぶ日本の三大海運会社の1社で、鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船などを持つ総合輸送グループ。
連結決算対象会社のグループ会社数 473社、保有するグループ運航船舶規模 721隻5,300万トン。
海運株は地政学リスク、燃料価格、資源価格等によって業績が左右されるので、業績の振れ幅が非常に大きく不安定な銘柄です。
コロナ禍で止まっていた物流が再稼働し海運のコンテナ輸送船価格が上昇を続け、それに伴い今年は海運特需が発生しています。
ドライバルク事業・・・「大量・ばら積み貨物=バルク、乾貨物=ドライカーゴ」でドライバルク。「バルカー」「ドライバルカー」「バルクキャリアー」「ドライバルク船」とも呼ばれます。
鉄鉱石や石炭、木材チップ、バイオマス燃料などの資源から肥料、穀物、セメント、塩、鋼材などの中間財・製品に至る多種多様な乾貨物のことを指します。
世界最大規模の船隊を擁する商船三井のドライバルク船(ばら積み船)サービスでは、多様な貨物の輸送に対応できる汎用ばら積み船と、特定貨物の特性と、積み地および揚げ地の状況を考慮して設計・建造された各種専用船を保有。21年第一四半期のドライバルク部門の経常利益は65億円。
エネルギー輸送サービス&海洋事業・・・世界のエネルギー需要が多様化する中、商船三井は、世界最大級の輸送船隊、豊富な輸送実績とノウハウで、エネルギー輸送のエキスパートとしてグローバルな活動を展開。
FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)などの海洋事業にも取り組み、エネルギー輸送の豊富な実績を活かして、積極的に事業展開を図っています。
21年第一四半期のエネルギー輸送サービス&海洋事業の経常利益は43億円。
製品輸送サービス・・・工業製品や一般消費財、自動車などの製品輸送サービスを提供。
コンテナ船サービスでは、邦船3社の事業統合によって誕生したOcean Network Express (ONE)が2018年4月にサービスを開始。世界有数の船隊規模と広範なネットワークでサービスの強化。
21年第一四半期のコンテナ船事業の経常利益は906億円で今回の好業績の要因。
関連事業サービス・・・曳船(タグボート)、陸運、倉庫、海事コンサルタントなどの海運業関連はもちろんのこと、旅行、ビル賃貸・不動産管理、さらには金融・財務、商事、保険、情報システム、国家石油備蓄事業支援、海図販売など。
21年第一四半期の関連事業の経常利益は23億円。


製品輸送事業が利益の86%を占めているから、
コンテナ船事業が今回の好業績の要因だね!
業績

業績(百万円) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
連19.3 | 1,234,077 | 37,718 | 38,574 | 26,875 | 224.7 | 45 |
連20.3 | 1,155,404 | 23,779 | 55,090 | 32,623 | 272.8 | 65 |
連21.3 | 991,426 | -5,303 | 133,604 | 90,052 | 753.0 | 150 |
連22.3予 | 1,100,000 →1,220,000 | 35,000→45,000 | 350,000 | 335,000→480,000 | 2,797→4,004.9 | 550→800 |
海運事業は年によって利益率が大きく変動する事業で、今年は売り上げが横ばいながらコロナショックで物流が混乱し輸送船価格が上昇し、それに伴いコンテナ船の価格上昇で利益率が急上昇。
特に19年純利益326億円から20年純利益は900億円と約3倍となり、21年純利益予想はさらにその3倍超の3350億円となっていました。
そして今回の上方修正により純利益予想はついに3350億円→4800億円となり、まさに海運バブルとなっています。
しかし不思議なことに20年の業績は21年3月決算では営業利益は53億円の赤字にもかかわらず最終利益は900億円。
代わりに経常利益が急激に増えており、前年は550億円だった経常利益が21年は1330億円に急増しています。
実は商船三井はグループ会社として持分法適用会社のコンテナ会社を複数持ち、 同社が出資するコンテナ会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE) 等から多額の持分法による投資利益を得ています。
持分法投資損益は持分法適用会社から上がる損益のことをいい、日本の会計基準では受取利息や配当金と同様、営業外損益として処理するため経常損益の変動要因になります。
好調なコンテナ関連のグループ会社から営業外収益として利益を吸い上げている為、このような数字となるわけですね。
持分法適用会社とは・・・
持分法が適用される、原則として出資比率(議決権所有比率)が20%以上50%未満の非連結子会社や関連会社のこと。
持分法投資損益は持分法適用会社への投資が本体企業の収益にどれくらい貢献したかを見る物差しの一つで、通常、持分法適用会社の最終損益を出資比率に応じて本体企業の連結決算に反映し、黒字の場合は「持分法投資利益」、赤字の場合は「持分法投資損失」として計上。
株価

- 2021年11月2日終値:7280円
- PER:1.81倍
- PBR:1倍
- 年初来高値:10,060円
- 年初来安値:2,710円
配当


- 一株配当:800円(予想)
- 税引き前配当利回り:10.98%
- 配当性向:19.95%(予想)
- 配当落ち日:3月30日 9月29日
商船三井の配当は海運の動向次第の業績に大きく左右される為、安定性は皆無で赤字で減配無配、好調時は増配率も驚異の倍増!
そしてみなさん注目の現在の配当利回りはなんと驚異の10%越え!
前回7月30日に発表した増配アナウンスで年間配当150円→550円に増配したにもかかわらず、今回さらに550円→800円へと増配しています。
利益額が大きく伸びた為これだけの増配をしながらも配当性向は20%となっており目先はまだまだ割安に感じます。
ただし海運事業の業績は地政学リスク等の影響があり振れ幅が大きいことと、輸送船のコストとなる原油価格は今夏以降上昇を続けているので注意は必要です。

配当利回り10%越えぇぇ!
今回の業績予想見る限りまだまだ買える水準に見えるけど、
今年にかけて大きく株価上昇したから高値掴みが怖いね。
優待
「にっぽん丸クルーズ」優待券
1枚で1名1クルーズにつき10%割引、最大2枚(20%割引)まで利用可
30日以上のクルーズは1枚で3%割引(最大2枚で6%割引)
※他の割引制度との併用については予約時要確認
100株以上 ・・・2枚
500株以上 ・・・4枚
1,000株以上・・・6枚

配当だけじゃなくて優待もあるのかぁ
これはなかなか誘惑されちゃう!
まとめ

- 海運株は地政学リスクや資源価格等により業績の振れ幅が非常に大きい
- 業績赤字時は直ちに減配無配になる
- 業績好調時は配当が大きく増加にすることもあり
- 2021年はコロナ禍後の物流回復による輸送船不足で運賃向上で利益増加
- 年間配当上方修正が続き1株配当550→800円に増配
- 現在配当利回り驚異の10%越え
- 配当性向も20%未満と好調が伺える
- 株主優待でクルーズ割引優待券もあり
- 燃料コストとなる原油価格は上昇中なので注意
今年に入ってからの上方修正が続き好調な海運セクターですので、この水準から参入するか非常に悩みどころなゴリラです。
1単元価格が70万円台と大きく、株価の振れ幅もあるので安心して握り続けられる自身はありません。
株価上昇して配当利回りが適正値に修正されていくと考えるなら、リスク株に多い利回り6%くらいと仮定して株価13000円くらいまで行くのでは、とも思いますがはたして・・・。
これからの値動きを引き続き観察していきます。
それではまた次回!
byかいゆー
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