なぜ野村HDは株価下落しているの?

野村ホールディングス(HD)は3月29日、米国の子会社が顧客との取引で多額の損失を受けた可能性があると発表したことを受けて、株価が前営業日比約15%下落しました。
これは顧客であるアルケゴス・キャピタルの出した巨額損失が原因と言われています。
アルケゴス・キャピタルは各金融機関から資金を調達し大きなレバレッジをかけて運用していた為、投資先銘柄の下落から資産価格減少→各証券会社から投げ売りされることにより大きな損失が発生したようです。
そしてこのアルケゴスに出資していた野村HDの子会社が、資金回収できず今回の株価下落の原因となりました。
今回はこの野村HDの株価下落は買いなのか?検証していきましょう!

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事業
野村ホールディングス株式会社はアジア最大と同時に世界的影響力を持つ投資銀行・証券持株会社で、1925年野村證券を設立しその後成長を遂げ、現在ではグローバル金融サービス・グループとして、世界30カ国・地域を超えるグローバル・ネットワークを有します。営業、ホールセール、インベストメント・マネジメントという3つの部門に分かれています。
業績
営業、ホールセール、インベストメント・マネジメントという3つの部門とも前年より増益でしたが、アルケゴスに関わる損失のためホールセールスが減速。しかし好調下での損失だったので各部門の増益分で吸収し19年のような赤字決算にはならずに済みました。これがなければ好決算だった可能性が高く悔やまれます。株式市場好調が続く限りまだまだ利益拡大の余地はありそうです。逆に金融緩和縮小になり金余り状態が解消されると、業績&株価に修正が入ることになるでしょう。
【業績】 | 営業収益 | 営業利益 | 税前利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
◎17.3 | 1,715,516 | ‥ | 322,795 | 239,617 | 67.3 | 20 |
◎18.3 | 1,972,158 | ‥ | 328,158 | 219,343 | 63.1 | 20 |
◎19.3 | 1,835,118 | ‥ | -37,701 | -100,442 | -29.9 | 6 |
◎20.3 | 1,952,482 | ‥ | 248,261 | 216,998 | 67.8 | 20 |
◎21.3 | 1,617,235 | ‥ | 230,671 | 153,116 | 48.63 | 35 |
出典:楽天証券四季報
アルケゴスショックによるダメージ

どのくらいの損失が出たんだろう?
- 米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントに絡むとみられる損失額約3100億円(28.7億㌦)を計上
- 3月下旬に概算で公表した金額2200億円(20億㌦)よりも損失額が膨らむ
- 2021年3月期に2457億円(23億㌦)、22年3月期に620億円(5.7億㌦)を計上する見込み
- 同日発表した21年3月期の連結純利益(米国会計基準)は前の期比29%減の1531億円
- 野村HDは当初、損失額を2200億円程度と見積もっていた
- 担保にとっていた株式の価格が見通しに比べて安く推移したため損失額が膨らむ
- アルケゴスが運営不能とみて21年3月期に416億円の貸倒引当金も計上
- 4月以降も市場で関連資産の売却を進めており、現時点で97%超の処理を終えたという
2021年4月27日日本経済新聞より引用https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2731H0X20C21A4000000/
株価
直近高値から15%程度下落中で割安感ありですが、コロナ禍直撃の20年には株価400円割れる場面もありました。GW明け続落中の株価は現在の株高下であれば損失織り込み済みになれば反転しそうですが、表面化していない問題がまだあり?
- 2021年5月7日終値 586.9円
- PER:6.82倍
- PBR:0.64倍
- 年初来高値:721円
- 年初来安値:534.6円
配当
野村HDの資本政策では配当については、「配当につきましては、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向30%を重要な指標のひとつとします。」となっているため、数字だけみれば配当利回り6%近い高配当ですが、配当性向30%に合わせて下げる可能性があります。
3月末を基準とする配当金は、「一株当たり15円とさせて頂きます。その結果、年間の
配当金は35円となります。」となっており、配当性向70%を超えた今回の決算では減配せず配当を出すようです。しかし直近数年で見ても赤字決算だった2019年に減配で年間配当6円となっていますので次回以降も油断は禁物です。
下記の配当実績をみると野村HDは安定配当というよりも業績による配当の増減が大きいと言えるので、株高で利益が出やすい現在の市場状況ならば一過性の損失で下がっている現在は割安であるとゴリラは考えています。
- 一株配当:35円
- 税引き前配当利回り:5.96%(2021年5月7日現在)
- 配当性向:71.97%
- 配当落ち日:3月30日 9月29日
配当実績 | 中間 | 期末 | 1株当たり年間配当金 |
---|---|---|---|
2016年3月期 | 10.0円 | 3.0円 | 13.0円 |
2017年3月期 | 9.0円 | 11.0円 | 20.0円 |
2018年3月期 | 9.0円 | 11.0円 | 20.0円 |
2019年3月期 | 3.0円 | 3.0円 | 6.0円 |
2020年3月期 | 15.0円 | 5.0円 | 20.0円 |
2021年3月期 | 20.0円 | 15.0円 | 35.0円 |
まとめ
- 決算では株高もあり各部門とも好調
- アルケゴス関連損失でホールセールス部門がマイナス
- 現時点で判明している損失は97%確定済み
- 各部門の増益分で吸収し赤字は免れる
- 株価は直近高値から15%程度下落中
- コロナ禍では株価400円割れの場面もあり
- 金融緩和による株高は継続中
- 配当利回りは6%近い
- 配当性向は急上昇し目標30%に対し、現在70%越え

リスクをとって今買う必要ないのでは?
ゴリラとしては今回は長期保有の高配当目的ではなく、直近の割安感から株価回復の値幅を取りに行く購入スタイルをとっています。底値400円付近と下値が見えているので、想定内の動きであればホールドし続けます。判明していないリスクなど再び想定外の損失等が出るようなら迷わず損切するつもりなので短期~中期投資になる予定です。短期的な下落が買いなのか売りなのか素早く判断できるよう経験を積んでいきましょう!
byかいゆー
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